丹後魚っ知館へ -2023.5
京都府北部の丹後魚っ知館へ行ってきました。
● はじめに…
この丹後魚っ知館ですが、2023年5月30日をもって閉館しております。
なので今回の記事も、過去の情報・追憶のような形となっています。
この記事を書いている時点ではもう2ヶ月も前なんですけどね…。
● 施設について
丹後魚っ知館、正式名称:宮津エネルギー研究所水族館。
正式名称にあるエネルギー研究所とは、関西電力の火力発電所・エネルギー研究所で、関西電力のPR施設という形でこの水族館があります。
「見る:watch(ウオッチ)」、「魚(うお)」、エネルギーについて「知る」を掛けたナイスなネーミングの水族館。
ローカルな水族館ながら、京都水族館ができるまでは京都府では唯一の水族館で、京都北部に限れば変わらず唯一…でした。閉館にあたって過去形なんですけどね…。
この度、エネルギー研究所の廃止に伴い、水族館も閉館、跡地は企業誘致エリアになるそう。
● 交通アクセス
・京都丹後鉄道宮舞線 栗田駅 からタクシー、または徒歩40~60分
最寄り駅は栗田駅。「くりた」ではなく「くんだ」駅。
京都市や大阪からなら、宮津駅や西舞鶴駅まで電車やバスで移動後、京都丹後鉄道で。
最寄の栗田駅からはタクシーまたは徒歩になります。
前はバスが運行していたそうですが、どうも廃止→タクシーに移行になった模様。
徒歩だと3kmほどあります。
● 行ってみました
同じ近畿圏にあるとはいえ、距離があり交通アクセスがイマイチ…な水族館だし、特に珍しい生き物がいるとも聞かない(過去にエビスザメがいたらしいのですが)ので、行くとしてもまあそのうち…って感じでしたが、この度閉館するということで、1回ぐらいは行こうと思い、向かうことに。
小さいローカル水族館だけど割とよかったみたいな声も聞くし。
行く前に情報収集したところ、GWには長蛇の列ができたとかなんとか…。人混み大丈夫かな…。
というわけで、栗田駅に到着。
最寄り駅の段階で…し…自然溢れる感じがします。ええ。まあいわゆるローカル線ですしね…。
ちなみに栗田駅を有するこの京都丹後鉄道、なかなか豪華な観光列車が運転されているようで、一部は乗車券だけで乗れるものもあります。今回は時間の関係で乗れませんでしたが。
栗田駅を出て徒歩で風景を楽しみつつ移動。残念ながら曇り空。まあ直射日光がない分マジなのかもしれませんが…。
こんな感じの漁村っぽい風景が続きます。
フナムシもちらほら…。虫嫌いな自分には若干堪えます…。まぁフナムシは虫ではないんですけどね ハイ…。
右に見える鉄塔っぽいところが目的地。覚悟はしていましたが徒歩では時間はかかりますね…。
なんやかんやで魚っ知館に到着。
もうすぐ閉館ということでなのか、長蛇の列というほどではないものの人も割といる様子。道中ではほとんど人と会わなかったのでみんな車で来てるんでしょうね…。
この前のスマスイでもいた同行者のT氏は着いて早々に、おばちゃん3人組に写真撮影を頼まれていました。
愛着のある水族館…というわけではなく、っていうか今回初訪問ですけど、それでも閉館するってのは寂しいですね。
子供が受付のお姉さんに「ここなくなっちゃうんですか?」「お魚はどこへ行くんですか?」って聞いてるのを聞いて少しいたたまれなくなりつつも…とりあえず入館。
なお、入館料は300円の驚きの価格。昔は無料だったというのですから驚きです。
小規模水族館ということを差し引いても破格。
まず最初に出迎えてくれた、黄金のアマガエル。アルビノの黄色個体なのかな。
名前は「ばなな」だとか。
個人的にはバナナよりオレンジとかみかんのシャーベットの色に見えてくる…そろそろそーゆーのが美味しい季節ですよね。
ちょっと脱線しましたが…タンゴスジシマドジョウやハリヨ、アユモドキのような絶滅危惧種、水色のアマガエルも同じ場所にいました。
淡水種はここだけだったので、水族館全体ではどちらかといえば海の生き物の方に重きを置いているみたい。
水族館の中でもメインとなる、大水槽。300円の水族館とは思えないワイドさ。
妙に尻尾が短いマダラエイ。なにかの拍子に切れちゃったのかな…。
ちょっと違和感がありますが、年季が入っている感じでいいのかも。
でもどうやらこのマダラエイ、和歌山で定置網でとれたらしく、その時に切れちゃったらしい…最初から短かったのね…。
近くにいた他のお客さんのひとりが、「毒針が危ないからわざと尻尾切ってあるんだ」みたいなことを連れの人に言ってましたが…さすがに水族館で尻尾ごとは切らないと思う…。
2.9mもあるというオオテンジクザメ。なんか犬の顎乗せみたい…。
去年の6月に大阪・海遊館からきたそうな。ここの閉館後はどこへ行くことになるんでしょうね…元の海遊館に戻るのかな。
個人的に珍しいと思ったのがこのカライワシ。
あまり水族館で見ない魚ですけど、この前のスマスイでは比較的近い種類のアトランティックターポンがいましたね。
イワシと名前につきますが、分類上はどちらかといえばイワシよりウナギの方が近い…ということになっています。
「キモチワルイとか言わないで!」と題されたウツボ水槽。
これ、たしかに他の水族館でも言ってるのを聞きますね。っていうか割と高確率でウツボ水槽を見て「気持ち悪い~」って言ってる人を見ます。
水族館のウツボってひとつの水槽にごちゃっと入ってることが多いし、ニョロニョロしたのが岩陰から複数顔を出しているとなると、苦手な人もいるのでしょうね…。
でも、ここの解説でも書かれていましたが、ウツボって割とつぶらな瞳をしてるので意外と愛嬌がある顔をしているんですよ。
無表情が怖いと言われるかもしれませんが…。
まあ、みんな気持ち悪いと言いつつもなんだかんだで見てますしね。
北方や深い海の水槽、サンゴ礁などの水槽や、個別水槽も並びます。
解説も手作りでエピソード等も交えてあって親しみやすい感じ。
サラサハタ。
すごくオシャレな色をしてるし高級食材でもある魚だけど、他の水族館が注文したのと違う魚が届いたというのでそれをもらったんだとか…。
水槽にもいろいろ表題がついています。
ちなみに画像一番右のぶさかわに入っていたのはハリセンボン…。
チンアナゴはシャイで出てこず…。
周りに人がいない隙に、水槽からできるだけ離れてカメラのズーム倍率を目一杯上げて顔を出してくれるのを待つ…という謎の攻防を繰り広げる自分…。
少し今更ですが、この魚っ知館にはマスコットキャラクターがいます。
それがこの「うおっちくん」。
解説では「みんな大好き」「大人気キャラクター」等、かなりの推しである模様。
一瞬火星人にも見えましたがモデルはミノカサゴだそうな。なぜミノカサゴがモデルなのかは諸説あってはっきりとはわからないらしい。
ちなみに彼、上のウツボの画像にも映り込んでいます。もちろんわざとでも合成でもありません。帰宅後に写真を確認するまで気づきませんでした…。
閉館でいなくなってしまううおっちくんのアピールだったりして…。
外に出て栗田湾を望む。いい景色。ただ、帰りまた1時間近くかけて歩くということもちらっと頭をよぎる…。まあタクシー使えばいい話なんでしょうけど。
ペンギンとゴマフアザラシが同居。
アザラシとかアシカとかとペンギンって折り合いがよくないイメージがあったのでなんか意外。
広々としたタッチプール。メジナやイシダイがいたけど、コロナウイルスの影響でタッチはできないそう。もうひとつタッチプールがあり、そちらはヒトデやナマコ、アメフラシなどが触れました。
感想、等。
水族館エリアは、さっと回れば20~30分ぐらいで回れるぐらいの規模でしたが、親しみやすい解説文を用意したりと工夫されている印象でした。
大水槽あり、そのクオリティで300円というのも魅力。閉館は惜しまれるところですね…。
まあしいて言えば…気になるのはアクセス難易度が少々高めな点でしょうか。地元ならまだしも、遠方からは少々骨が折れるかも。比較的近くに天橋立のような観光地もありますけどね。
● pick up !
ミノカサゴ
うおっちくんのモデルになっている魚。
岩礁や砂泥底に生息する20~30cmほどのカサゴの仲間で、他にもハナミノカサゴ、キリンミノなどの近縁種もいます。
ひらひらした優雅な魚ですが、鰭に毒があり、刺されるとかなりの痛み。けっこう腫れたり一週間ぐらい痛みが続いたり、めまいがしたりもするそうです。海でも綺麗なものには棘があるのは変わらないようです。
獰猛な肉食魚だし、人相手でも物怖じせずに鰭を広げて威嚇してきます。っていうか割と怒りっぽく、向かってくることも。
とまあ、優雅だけど割と危ない魚ですが、水族館ではガラス越しなのでその綺麗さを安全に眺められます。
個体にもよるでしょうけどガラス越しのこちらに興味を示して寄ってきたりするのもいます。まあ威嚇してるだけなのかもしれませんが。
水族館のキャラクターのモデルにもなったということなので、うおっちくんを知ってる方は水族館でミノカサゴを見たときに思い出してみては。
うおっちくんにも毒あるのかな…